システマティックレビューにおけるバイアスリスクとは?

前回のシステマティック文献レビューで、信号機の色のように見える図があったことを覚えていますか?

システマティックレビュー論文における「traffic lights」の図は、レビューをした各研究のバイアスリスクを表します。バイアスとは、誤った結果と結論に導く恐れがある体系的なエラーです。エラーは、研究におけるデザイン、実施もしくは解析の誤りの可能性があります。図では、行は研究を表し、列はバイアスの種類を表します。色は、各研究のそれぞれのバイアスの種類に対するリスクについて、レビュアーの評価を示します。赤は、バイアスのリスクが高く、黄色は不明、緑は低リスクです。

例えば、上の図のように評価した2012年の研究(筆頭著者Lane)では、選択バイアス(selection bias)、報告バイアス(reporting bias)、減少バイアス(attrition bias)は低リスクですが、検出バイアス(detection bias)は高リスクです。研究者は、実行バイアス(performance bias)のリスクについて、明確な結論を出すことができませんでした。そのため、黄色(不明)となっています。

システマティックレビューを執筆する際、この図は、あなたがレビューした各研究におけるそれぞれのバイアスの評価を、簡潔に視覚で表します。多くの言葉ですべての情報を文や表ににして書くより、この簡潔なグラフは、3つの色であなたの評価を瞬時に伝えます。これはあなたがレビューした各研究に対す評価を読者に伝えるのに役立つツールです。

システマティックレビューを開始する前に必要な、4つの行動

  • (1) レビューに含める研究について、どのバイアスを評価するか決めます。
  • (2) どのようにバイアスリスクを定量化するか決めます。

上記2つが、あなたのバイアスリスク評価の手順です。

  • (3) この手順を、システマティックレビューのプロトコルに書きます。
  • (4) この手順を、システマティックレビュー論文の方法(methods)の章に書きます。

これらの4つを実行すれば、4つの目標を達成します。

  • (1) 各研究をどのように評価するか、明確に理解します。これは、バイアスのリスクを評価するための地図のようなものです。
  • (2) 透明性を確保します(何をしたか、どのようにしたかを隠さない)。
  • (3) 結果を再現可能にすることで、他の研究者があなたの結論の妥当性を確認したい場合、あなたの解析を繰り返すことができます。
  • (4) レビューを実施する前に、システマティックレビュー論文の方法の章を書くことで、後の時間の短縮に繋がります。プロトコルの執筆と並行して、序論(introduction)の章と、方法の章を書く事ができます。

もっともよく評価されるバイアスの種類は、次の通りです。

(1) 選択バイアス(Selection bias)

臨床試験の治療群間でベースラインの被験者背景が異なる場合に起こる可能性があります。選択バイアスは、患者を治療群に割り付ける際、無作為および盲検化して行うことにより防ぐことができます。治療群とプラセボ群、もしくは新規治療群と標準治療群に被験者を割り付ける際、研究者が選ぶのは妥当ではありません。研究者は、年齢や疾患の程度などの要因により被験者を割り付けることで、バイアスを生じさせる可能性があり、これは間違いです。被験者の割付けは、ランダム化すべきです。

(2) 実行バイアス(Performance bias)

各治療群が異なるレベルの治療を受ける時や、1つの群が結果に影響をもたらす要因に晒され、別の群はそうでない場合に発生するかもしれません。研究の目的は、介入の効果(実行)を評価することです。しかし、どの介入を受けているかわかっていると、結果に影響を与える可能性があります。

(3) 検出(測定)バイアス[Detection (measurement) bias]

各治療群において、結果の収集方法または情報の検証方法に関して平等に扱われていない場合に、起こるかもしれません。また、一部の被験者の背景が測定に影響を及ぼす場合にも起こります。検出バイアスは、効果量の過大または過小評価に繋がる可能性があります。

(4) 報告バイアス(Reporting bias)

研究者が、結果のすべてではなく一部のみを報告した場合に起こります。もしかしたら、治療群間で統計的な差がある結果のみを報告しているかもしれません。研究結果のすべてを公表しないことは、結果をゆがめます。

(5) 減少バイアス(Attrition bias)

研究中止例数が治療群間で同じでない場合に起こります。中止症例は、その群の結果のデータが不完全になります。1つの群の結果のデータがもう1つの群より多い場合、結果の信頼性は低くなり、結論を導くに足る頑健性が十分でない場合があります。

Source: The Cochrane Handbook.

⚠️ Caution

あなたもまた、バイアスの原因になりえます。システマティックレビューにバイアスを取り込まないように、細心の注意を払わなければいけません。システマティックレビューを計画し、プロトコルを執筆する際、レビューデザインまたは、研究の特定や選択、または解析において、体系的なエラーを犯さないようにします。ここ に書かれている情報は、システマティックレビューのバイアスを避けるために役立ちます。

論文の結果の章には、レビューした研究におけるバイアスリスクを、全体的な評価を記載します。

これは、「traffic light」の図に文章で補足する箇所です。またこれは、専門分野における一次研究の全体的な質と、それらの内のいくつかに結論を信頼できないものにする方法論上の欠点があることを読者に述べる機会でもあります。

このように、それらの研究が行われた方法における弱点を晒すかもしれません。これにより、リサーチクエスチョンに対して経験に則り頑健な姿勢で答えるために必要なアプローチが理解できるでしょう。システマティックレビュー論文で、ギャップと限界を特定し説明しながら、その専門分野における研究の次の道筋を推奨できます。

この段階で、何が欠けているかを正確に理解し、専門分野のギャップを埋めるための、最適な研究デザインが出来る専門家は誰でしょうか?

あなたです!


Dr Dean Meyer has a background in environmental science with a specialist interest in toxicology and public health. Her doctoral research work focused on molecular mechanisms of metal detoxification in an invertebrate model. Her other research interests include the mechanisms of toxicity and disease causation, and the occupational sources of xenobiotics and their physiological effects.

Dr Meyer spent 8 years working at the Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta, and has an extensive background in the areas of laboratory safety and environmental health.

She is a certified Editor in the Life Sciences (ELS) and joined Edanz Group as an editor in 2015


Edanz offers a range of self-study courses and premium services on understanding, designing, conducting, writing, and publishing systematic reviews.


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