システマティックレビューの P.I.E.C.E.S. を組み立てる

by Dr. Dean Meyer

システマティックレビューのアイディアがあって、それが次のようなことを実現すると考えているとしましょう。

  • 重要なリサーチクエスチョンに答える
  • 専門分野の知識を進歩させる 
  • 医療従事者が、適切な治療計画を選択する助けになる
  • 医療政策立案者(policy-maker)に、公衆衛生を促進するための情報を有意義な方法で提供する
  • 長期にわたり、広く引用される素晴らしい文献を出版する 

この驚くべきシステマティックレビューを実行し、公表することで、新たな仕事に就くきっかけを得られたり、部局の卒業に繋がったりすることもあるかもしれません。すごいと思いませんか?では、何から実行すれば良いでしょうか。

P.I.E.C.E.S. = Plan, Identify, Evaluate, Collect, Explain, Summarize (Foster & Jewell, 2017)

P.I.E.C.E.S. を組み立てる前にすべきこと 

  • アイディアは実現可能ですか。専門分野の一次研究を見てみましょう。システマティックレビューを実施するのに、十分な研究がなされていますか。 
  • 関連するシステマティックレビューを探し、評価します。このリサーチクエスチョンは既に回答されていますか。いつ回答されていますか。それ以降、どれ位の一次研究が公開されていますか。システマティックレビューを更新するのにいいタイミングですか。研究を選ぶための、新たな基準が必要ですか。
  • チームを編成し、それぞれの役割を決めます。レビューにどの研究を含めるか決めるのは誰ですか。研究を選択した人たちの間で、相違が生じたら、誰に決定権がありますか。グラフィックの作成は誰がしますか?統計解析の担当は?論文執筆担当と、筆頭著者は誰ですか。
  • 一般的なリサーチクエスチョンと、使用するガイドラインを決めます(例: PRISMA)。

P = Plan(プラン): 検索方法を決める

  • プロトコルを構築する。正確なリサーチクエスチョン、仮説、適正基準、範囲を策定します。
  • 検索するデータベースと検索条件を決める。予備検索(pilot search)を実行し、キーワード、検索文字列およびコードをテストする。 
  • 研究の適正基準を定義します。それらが、研究を含めるか否かの理由となります。出版された日の範囲と、レビューに含まれる研究の言語を決めます。
  • 記録する成果と変数を決め、書式か表に個々の研究から関連する情報を記録します。
  • データの解釈のための方法(メソッド)を選び、それぞれの研究の質と、バイアスの危険性を評価します。
  • オプションで、研究の仮登録をPROSPEROなどの登録サイトを使い、オンラインで行います。
  • もう1つのオプションとして、プロトコル論文を書き、査読付きジャーナルに投稿することも出来ます。

I = Identify(見極め): 基準に一致する研究を検索する 

  • 検索条件に従い、検索を行い、ソースデータベースから、1つのスプレッドシートに情報を写します。
  • 既に出版されているレビューのリファレンスリストを確認し、関連の可能性がある研究を見落とさないようにします。
  • 重複は除きます。検索でヒットした出版の数は何件でしたか。

E = Evaluate(評価): 含める研究と含めない研究

  • タイトルとアブストラクトから、出版物をふるいにかけます。システマティックレビューの範囲と基準に満たない内容は、省きます。この段階で、何件の出版物を除外しましたか。このステップは、1人で担当する事が出来ます。
  • 残りの研究のフルテキストを入手します。 
  • それぞれの論文のフルテキストを読みます。レビューの範囲や基準に合わない論文は除きます。この段階で、いくつの論文が外されましたか。このステップは、2人で行いますが、それぞれ単独での作業となります。
  • レビューに含める研究のリストを、この作業を行うもう一名のメンバーが作成したリストと比較します。2つのリストは合致しましたか。そうでない場合、あなた方のどちらか1人が、もう1人のメンバーが関連性があるとした研究を除外したことになります。 矛盾について話し合い、もし研究の関連性について意見がそろわない場合は、3人目に研究を読んでもらい、決定してもらいます。この人物は、通常グループの主任研究員かプロジェクトマネージャーになります。
  • いくつの研究が残りましたか。除外のプロセスをフローチャートにまとめましょう。


C = Collect(収集): 重要なデータの抽出と合成

  • 書式か表に個々の研究の関連情報を記録します。
  •  データ本体を説明、要約、分類、そして解析します。研究者は時々、1つの研究を2つの論文として発表する場合があります。その場合、1つの論文を除外し、同じ患者の集団を2度数えない様に注意します。
  • もし、質の良い数値データが十分そろっていれば、定量的合成(メタアナリシス)を実行し、 データをプールすることで、リサーチクエスチョンに解答する際の、エビデンスの質の強化につながります。
  • 疑わしいデータを使った研究を特定します。もし重要なデータが完全でなかったり、欠落していれば、著者に連絡し、情報の提供を依頼します。著者から返答がない場合は、その研究はあなたの分析から外します。この段階で、ランダム化が正しく実行されていない場合や、研究デザインや実験方法にエラーが特定された場合、もしくは倫理違反や利益相反に関するバイアスがある研究も除外します。フローチャートを更新し、これらの除外内容を反映させます。
  • 疑わしい出版物のデータを用いたり、用いずに、感度分析を行い、それがメタアナリシスの結果に影響を及ぼすか確認します。
  • 最終的にレビューに含めた研究の情報を用いて、あなたの発見から結論を描きます。

E = Explain(説明): 結果に文脈を与え、研究の強みを評価する 

  • レビューの品質とバイアスの危険性について評価します。
  • あなたのレビューに添える表示アイテム(例えば異質性の表示にはファンネルプロット、興味深い各結果にはフォーレストプロット、更には結果要約表、研究・患者のフローチャートなど)を準備します。 
  • 結果の内容全体に、科学または医学分野の現状に位置付ける文脈を与え、(レビューに使用した)研究の強みと、限界を確認します。

S = Summarize(要約):レビューを論文として書き上げ、公表する

  • レビュープロセスを始める前に選択した、構造化ガイドライン(structured guidelines)の要件を満たしましょう。
  • 一次研究の構成(IMRaD:introduction、methods、results、discussion)で論文を書きます。メソッドと結果は明白に、透明性を持たせて述べます。 
  • レビュープロトコルを公表している場合、同じジャーナルからフルレビュー論文もアクセプトされるかもしれません。 
  • 研究と一致する査読付きジャーナルに、論文を投稿します。

 P.I.E.C.E.S. を組み立てた後にすること

  • オンラインレジストリに、プレレジストレーションした場合、レジストリの記録を最新の状態にし、研究が完了し、公表されたことを反映させます。公表されたレビューのリファレンスとURLを提示します。
  • ジャーナルのポリシーによって、パブリックリポジトリにデータセットを共有出来る場合があります。
  • サイエンスコミュニティーとメディカルコミュニティーに、あなたのシステマティックレビューが出版されたことを告知します。せっかく頑張って、専門分野のナレッジベースを進歩させたのですから。あなたのレビューに興味を持つ人すべてに、レビューが公開されたことを知らせます。 

Dr Dean Meyer has a background in environmental science with a specialist interest in toxicology and public health. Her doctoral research work focused on molecular mechanisms of metal detoxification in an invertebrate model. Her other research interests include the mechanisms of toxicity and disease causation, and the occupational sources of xenobiotics and their physiological effects.

Dr Meyer spent 8 years working at the Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta, and has an extensive background in the areas of laboratory safety and environmental health.

She is a certified Editor in the Life Sciences (ELS) and joined Edanz Group as an editor in 2015.

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