臨床研究のプロトコルの概要を効果的なものにするための、5つの秘訣

by Dr. Dean Meyer

研究概要(シノプシス)は、臨床試験の重要な部分の抜粋(サマリー)です。原著論文の要旨(Abstract)と似たものと思うかもしれません。シノプシスは、読者がプロトコルの全文を読まずに、何(what)、なぜ(why)、どこ(where)、どのように(how)研究を実施するか主要なポイントについて理解することが出来ます。しかし、臨床試験のシノプシスは、論文の要旨以上の意味があります。表面的には、その専門分野の他の研究者や、研究への資金提供を検討する出資者、また、倫理的側面や研究の妥当性を評価する規制当局や、医療政策立案者(policy-maker)のためなど、他の人のために臨床研究のプロトコルのシノプシスを書いているように感じるでしょう。

しかしながら、効果的なシノプシスで最大の利益を受けるのは、あなた自身です。下に挙げる5つの秘訣に沿って、洗練された臨床研究のシノプシスを書きましょう。

1.プロトコルを書く前に、シノプシスを書きます。

シノプシスは、プロトコルをすべて書き終わってからではなく、初めに書きましょう。そして、シノプシスをプロトコル策定の道具として使うのです。もし、初めにプロトコル自体を執筆し、要約しようとすると、ストレスを最小限に抑えつつ、優れた、力強いプロトコルを、体系的で思慮深く書くことが難しくなるのためです。シノプシスをプロトコルの前に書くことで、時間と負担を軽減することができます。この順番では、事前に考えを深めてから、シノプシスの内容に詳細を肉付けすればよいので、プロトコル作成の作業はより単純になります。

2.最も重要(ハイレベル)な要素をすべて含めます。

シノプシスにより、実施する臨床研究に関して、基本的な点から重要な点まで、すべてを方向付けられるようにします。あなたのリサーチクエスチョンは何ですか。そのリサーチクエスチョンから、臨床研究に採択すべき研究デザインは何か、判断できるでしょう。あなたの試験の目的は何ですか。目的は1つか2つに絞り、それらを的確な言葉で示します。目的が定まれば、評価するエンドポイントが定まります。これらのエンドポイントで、時間、費用に問題が生じますか、また、被験者に不都合は生じませんか。。仮説はなんでしょうか。仮説は、文献検索に立てます。公表されている文献は、その専門分野における先行研究や、そこから分かっていることを示します。また、文献は、あなたのリサーチクエスチョンは、すでに回答されたものかどうかも提示します。もし、すでに回答されていれば、リサーチクエスチョン、目的および仮説を速やかに修正し、時間を無駄にしないようにします。

3.ハイレベルな事項のみを含める。

良いシノプシスは、簡潔に書かれているものです。詳細情報まで詰め込まないこと!シノプシスは、プロトコルの複製にしてはいけません。細かい内容はプロトコルに記載し、シノプシスは簡潔にまとめます。それには、主要なクエスチョンに答えるにとどめます。シノプシスに多くの詳細を詰め込むことは、間違いです。原著論文では、200語程度の要旨が適切で、400語ともなると、既に長すぎと言えます。同じように、臨床研究のプロトコルのシノプシスは、詳細をすべて述べるものではありません。ハイレベルな事項と内容を記載するにとどめましょう。

4.研究チーム以外の人に、シノプシスのレビューを依頼し、評価してもらいましょう。

新たな目線で見てもらう時です!ここまで、あなたは臨床研究を立ち上げるために、集中して作業してきました。それは、あなた自身が一歩下がって、何が欠けているか、不要か、また執筆した文章が非論理的かを見極めることを困難にします。研究概要を理解できる、科学分野出身の人で、プロジェクトに関わっていない誰かに、シノプシスをレビューしてもらい、質問を受けましょう。さらに、曖昧さや不明瞭さは、リサーチクエスチョンの科学的根拠によるものではなく、言語の壁で起こりうることを、覚えておきましょう。 もしあなたが、シノプシスを母国語以外の言語で書いたのであれば、専門のエディターに、シノプシスが明瞭で読みやすいか見てもらうべきです。このように作られたシノプシスの研究プロトコルであれば、審査委員会の承認を得やすくなり、サイエンスコミュニティーからも注目をされやすくなります。

5.臨床研究のプロトコル全体を書いた後で、シノプシスを確認しましょう。

シノプシスの内容で、プロトコルの内容に合わせて修正する必要はありませんか。表題が、目的、デザイン、研究の母集団を正確に伝えていますか。被験者登録のタイムラインは現実的ですか、被験者募集や研究実施期間が最初に考えていたより長くなることはありませんか。サンプルのサイズを修正する必要はありませんか。リサーチクエスチョンにもれなく答えるための方法(methods)になっていますか。また、エンドポイントの追加や、変更の必要はありませんか。


シノプシスは、あなたが質の良いプロトコルを書くための手段であり、いわば「設計図」です。そしてプロトコルは、臨床研究を成功させるための「レシピ」で、専門分野のに対する優れた洞察力と知識ベースを高めます。すべては一度に1つずつクエスチョンに回答していくシノプシスから始まります。優れたシノプシスを書くことは、プロセスを合理化し、臨床研究のプロトコルを作成するための鍵であり、それは研究関係者全員にとって利益となります。Make that difference!


Dr Dean Meyer has a background in environmental science with a specialist interest in toxicology and public health. Her doctoral research work focused on molecular mechanisms of metal detoxification in an invertebrate model. Her other research interests include the mechanisms of toxicity and disease causation, and the occupational sources of xenobiotics and their physiological effects.

Dr Meyer spent 8 years working at the Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta, and has an extensive background in the areas of laboratory safety and environmental health.

Dr Meyer is a certified Editor in the Life Sciences (ELS) and joined Edanz Group as an editor in 2015.


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